期せずして、たぶん今まで日本に判例のない、著作権侵害で法廷で闘うことになりました。
簡単に言うと・・・。
サイトに設定していた「画像を自動的に表示するプラグインツール」により、「違法にアップロードされた写真」が、私のサイトに表示されていた期間があったようなのです。
図で書くと下の感じです。
このまわりまわって、表示されていた写真が、著作権侵害にあたると、写真の著作者より、約70万円近い金額を要求されているのです。
表示されていたとされる画像は、パソコンの画面でみても切手程度の大きさです。
この切手大の写真も私が貼り付けたものではなく、ツールにより表示されていたものです。この画像をクリックすると、元のサイトにURLが飛ぶ仕組みになっています。

最初、サーバーからの開示請求があった時は、びっくりして、なんて軽率なことをしてしまったんだろう・・・(><)
そう思って悔やんでいたのですが・・・。
よくよく、今回の流れを思い出してみると・・・。
「著作権侵害をしているから、写真を消せ!」の警告もなしに、いきなりプロバイダーの開示請求をしてきたのか?
そうなんです。最初のひな型通りに作成してたので、ちゃんとお問合せフォームを作っていたのです。後から確認すると、この問い合わせフォームから著作権侵害で訴えてきた人のメールは来ていませんでした。
なぜ、私に直接問い合わせることのできるメールがあったにもかかわらず、いきなり開示請求?!
そして、切手程度の写真が写りこんでいただけで、高額な請求金額?!
だんだん、不信に思うことが出てきました。
そして、「20万円で示談金を支払うなら、民事・刑事に訴えません。」という内容証明が送られてきました。
これって・・・。
ひょっとして、示談ありきでお話しするつもりだったのでしょうか?
今回、私が自動で表示していたように、同じこの違法写真を表示してしまった人は、私だけではなく複数存在するはずです。
「示談に応じないと訴えます!」そう言われたら・・・。
裁判なんて、怖いから20万払って楽になりたい。
そう思っちゃいますよね(;・∀・)
私も、最初怖くなって、支払おうと思いました。しかし、考えれば考えるほど・・・。
この写真の著作者は、私と同様に写真を表示してしまった全員に、プロバイダーの開示請求をおこない、一連の流れで全員にたいして、示談の話を持ち掛けているのでは?
20万円の示談金を何人から得ているの?!
そう思うと、なんかモヤモヤする・・・。
調べてみると、日本の裁判で、
「自動ツールによる、画像の写りこみの著作権侵害の範囲」判例が過去にないようなんです。
判例がないのだったら、裁判所に白黒つけて判例を出してもらった方が良いのではないだろうか?
私が裁判に負ければ・・・。
他人が違法にアップロードした画像でも、自分のサイトに表示した場合は、罪に問われる!
ってことになります。
私が裁判に勝てば・・・。
今回と同じようなことが起こった時は、この判例を盾に、示談金を支払う必要がなくなります。
でも、裁判・・・。ビビりました・・・。
そして悩みました。
でも、葛藤の結果・・・。
弁護士の先生に着手金30万円を支払って、闘う決意をしました!
はい!この時点で、示談の料金を超えています(;・∀・)
でも、納得いかないんですもん!
法廷で白黒つけてもらいます!
著作権違反の概略
今回の発端となった写真(X)は、原告のサイトから、無断で複製されてホームページにアップロード(Aサイト)されたものでした。
別のまとめサイト【Bサイト】も、【Aサイト】から写真が表示される仕組みになっていたようで・・・。
結果、Aサイトに投稿しされた問題の写真(X)が【Bサイト】に掲載されていたのです。
私のサイト(chi-wa.com)は、ワードプレスのプラグインで、RSSリーダーであらかじめ登録したサイトを自動投稿される状態になっており、その登録サイトの1つが、【Bサイト】でした。
その結果、【Bサイト】に掲載されていた、問題の写真(X)が、私のサイトに、Bサイトの画像が左のキャプチャーイメージとして表示されていたようなのです。
もう、RSSドミノ倒し状態です・・・。
この写真が著作権侵害だとして、2016年11月エックスサーバーからchi-wa.comの開示請求照会の確認を受けました。
最初、この開示請求をした人は、きっと私が写真(X)を無断でコピーしてアップしているんだと勘違いして請求してきたんだろ・・・。
そして、話せばわかるだろうと、たかをくくっていました。
しかし、開示請求をした人、そんな甘い人ではありませんでした。
これが、訴訟にまで発展する事件への幕開けとなったのでした(・・;)
訴訟までの経緯時系列
2016年4月下旬 ワードプレスにRSSリーダー登録する
アフィリエイトで多少の収入を得ていた私は、インフォトップ系の高額商材も平気で購入するようになっていました。
その中で目に留まったのが、神龍と言う商材。この商材は、ワードプレスにプラグインをするだけで、当時流行っていた、まとめサイトをさらにまとめると言う、アンテナサイトが手軽に出来ると言うものでした。
具体的には、神龍に圧縮されているファイルをプラグインとしてインストールするだけ。
ツールに弱い私でも、マニュアルを見ながら1日で作成が出来ました(≧▽≦)

凄い!!
あっと言う間に、私のサイトに「まとめサイトをまとめたもの」アンテナサイトが出来ました(≧▽≦)
ちなみに、この表示されている、写真や文書部分をクリックすると、【Bサイト】が表示される仕組みです。
本当は、2〜3個RSSで引っ張ってきた画面の下に、自分で作ったものを投稿すると言う設定にしたかったのです。
いかんせん、技術力がない私は、そんなこと出来るはずもなく(笑)
ゴールデンウィークを過ぎたころには、設定したままサイト自体の存在をすっかり忘れてしまっていました。
過去のサイト状況がコチラから見ることができます。
このサイトを開いて、2016年10月1日辺りをクリックしてください。(開くのに時間がかかります。)
chi-wa.com
こんな感じのものを表示していたのです。
2016年11月8日 開示請求に至る照会に係る照会
エックスサーバーのメールがありました。
お客様が過去に弊社サーバー上にて公開されておりましたサイトについてご連絡申し上げます。
2016年10月17日付けで、下記サイトについてサーバー会社である弊社宛に
札幌地方裁判所より【発信者情報開示請求事件に係る訴状】が届きました。引用元: エックスサーバーからのメール
裁判所に書類を提出してまで、私が誰かと調べようとしている人がいるってこと??
えっつ?私、何かしたっけ?
サイトの存在自体すっかり忘れていた私にとって、まさに青天の霹靂の出来事!
2016年11月8日 開示請求に至る照会に係る照会返信 その1
いや〜ん。なんか怖いよ〜(;・∀・)
とりあえず、開示で速攻返信!!
2016年11月8日 開示請求に至る照会に係る照会返信 その2
ちょっとまて!開示されるってことは、住所・電話番号とかわかっちゃうんだよねぇ?
変な人から電話かかってきたらどうしよう(;・∀・)
私、脅されるの??怖いよ〜。
そ・・・そうだ!とりあえず、ワードプレス自体を再インストールしてバッサリと消してしまおう!
で、削除を確認したら、「もう確認したら、開示は必要ないです!」
って、言ってくれるかも。と甘いことを思ってエックスサーバーにその旨を再度、返信。
2016年11月9日 エックスサーバーから非表示確認のメール
次の日、エックスサーバーからの返信で、非表示確認しました。と、メールをもらいました。
気楽な私は、これにて一件落着!そう思っていました。
2017年6月 開示請求決定
エックスサーバーから、chi-wa.comの開示請求がなされたと連絡がありました!
どうやら、開示される内容は、住所・氏名・メールアドレスらしく電話は入っていませんでした。怖い電話は掛かってはこないようです(笑)
と・・・。言うことは、次は郵便。
と・・・。言うことは、次は内容証明が届くってこと?!
2017年7月8日 内容証明書が届く
400詰め原稿用紙のような、超古典的な内容証明書が届きました。どうやら、自分で書かれたようです。
ここに来て、はじめ私を訴えた人がわかりました。
写真家さんでした。名前を検索すると出てくる出てくる・・・。
著作権違反を見つけては、ガンガン訴えている人でした。
はい!よほど有名な写真家さんなんでしょう。
素人の写真とは比べ物にならない、とんでもない法外な料金です。
・写真の無断使用料
・慰謝料
・プロバイダ宛、発信者情報開示請求費用及び公衆送信差止請求裁判費用
・内容証明郵便送料
・遅延損害金
ツールを設置したことによって、私のサイトにリンク先のイメージ図として、表示された切手大の大きさの値段が・・・。
なんやかんやで、40万近い損害賠償の請求です!
いやいや、あり得ないでしょ!
高画質の写真を購入したって1万円もしませんよ。
期日までに払えば、示談で20万円にする!
2017年7月 読み直して分かった!示談ありきの一連の流れ
不信その1 お問合せフォームからの抗議はなかった
確認すると、購入した商材通りに設定したので、最初の時点でお問合せフォームの設置をしていました。
でも、お問合せフォームから、私へのコンタクトはありませんでした。
「写真を使われてる~!」
↓
「削除をするように抗議!」
まずは、直接抗議をして、それでも自分の写真を消さないというのであれば、法的な手段に訴える!って言うのが一般的な流れではないでしょうか?
今回は、このごく一般的な一連の流れなく、いきなり裁判所へ開示請求訴訟を求めたということです。
不信その2 開示請求に至る照会時点で画像の表示はなかった
最初のエックスサーバーから開示照会を受けた時点のメールにしっかり記載されていました。
赤丸で囲ったように、開示請求の照会を受けた時点で該当画像は、私のサイトには表示されていなかったのです。
そう・・・。つまり、RSSでひっぱて表示されていた元が削除されたのでしょう。
すでに削除されているものまで、わざわざ訴訟しようなんて思うでしょうか?
不信その3 写真家さんの写真は期間限定貸し出しのみ?!
写真家さんの写真の料金は超高額!そして、写真は貸し出しのみ!
ホームページを写真を使用する時に、借りると言う選択肢はありますか?
普通、ホームページで写真を投稿したらそのままにしますから、買うとしたら当然買い切り型ですよねぇ。
いや、そもそも、ネットつかう写真でレンタルを使用して使う人はいるのでしょうか?
でも、この写真家さんの写真の値段は、半年。一年と期間限定の料金のみで、買取設定の値段をつけていないんです!
これ・・・。完全におかしいやん(;・∀・)
RSSのツールで表示された、パソコンで見ても切手ぐらいの大きさの写真の表示。写真ともいえないアイコンぐらいの大きさになった写真にこの価格を支払えだと?!
私は、写真見てもないんですけど!
ありえない!!
2017年7月 ネットに強い弁護士さんを探す
20万円払えば、楽になれる・・・。
自分自身の悪魔のささやき・・・。
弱気になる心を奮い立たせながら、ネット関係に強い弁護士さんを探しました。
著作権 弁護士 大阪
インターネット 強い 弁護士 大阪
ネットトラブル 弁護士 大阪
いろいろ検索する中で、何度も同じ弁護士事務所が出てきたので、そこにアポイントを取って相談にいきました。
ネット系の著作権に強い弁護士とのことでしたが、想定しているのは、企業間の訴訟のようで、一個人のトラブル程度では・・・。といった感じ。
弁護士の先生も、示談に応じる方向・・・。ガッカリ。
大きな問題として、弁護士の先生に動いてもらうとお金が非常に掛かるという現実。
弁護士の先生への着手金だけで、20万円以上で示談金を超えてしまう。その結果、この程度の金額では、泣き寝入りが一般的な様だ。
納得いかないよ・・・。
2017年7月20日 自ら写真家さんにメールする
ダメもとで、自分の主張をメールしてみましたが・・・。
期日した日までだっら示談に応じるが、それ以降は法的手段に訴える!
これの一点張りでした。
「民事・刑事ともに提訴はいたしません・・・」
ゴミ箱がなかったら、空き缶をず~っず~っと、いつまでも持っているような私に、刑事・・・だと!!
この文を見て、私の何かが切れた!
1枚の不正にアップされた写真から始まって・・・。
私と同じようにRSSでこの写真を掲載した人って、何人ぐらいいたんだろう?
たぶん、サイトに写真が載っている人、全員に対してプロバイダーに開示請求して、同じように内容証明を送って、示談を持ちかけているのだろう!
20万円の示談を複数もらっていくことが、本当に著作権違侵害の話なのか?
当分旅行いかなくったって、美味しいもん食べなくったって、好きな服かわなくったっていいもん。いいもん我慢する(涙)
私、20万円の示談を拒否して、法廷で闘います!
2017年8月 訴状が郵送されてくる。
とんでもない分厚さの訴状が送られてきました(-_-;)
もともと借りていた、サーバーの名前は旦那の名前、そして実際に使用していたのは私。
と、言うことで、2部送られてきました。
「口頭弁論期日呼出状」とともに、大量の証拠書類が入っていました。
その証拠書類の中に原告の通帳のコピーがありました。
ほとんどが黒塗りされていて、一部だけそのままの状態のものです。そうです、黒塗りされていないところは、20万円の振り込みがあったところ。つまり・・・。
「他の人は、あなたと違って、示談に応じて20万支払っていますよ!」
アピールされているですかねぇ?
ちなみに、「口頭弁論期日呼出状」の裁判期日に、何も書類を提出せずに、欠席してしまうと相手方の主張が全て認められるらしいのです!
ひや〜。恐ろしや~欠席裁判(◎_◎;)
2017年9月 著作権に精通している弁護士さんを探す
持つべきものは友。
私が、ホームページの作成をお手伝いをしていた、ショップのオーナーさんの知り合いが、特許や著作権専門の弁護士の先生を知っているとのこと!
概略をお話したところ、一度、詳しく話を聞いてくれるとのことなので、さっそく、面谷・島 法律特許事務所にお伺いしました。
著作権に強い弁護士さん
先生は、弁理士と弁護士資格を持っている異色の弁護士さん。
親身に内容を聞いていただきました。そして、こういった事案で一番問題になるのが、やはりお金。今回の場合も・・・。
20万円の示談に対して、弁護士に先生にお願いすると・・・。
着手金だけで30万円。成功報酬で30万円。そして、もろもろの諸経費が掛かってくるので、圧倒的に示談で済ましたほうが安い!
それは、わかっています。わかっているけど、どうしても納得がいかない!!
私は闘うと決めました!
途中で、取り下げるとは言いません!ぜひ、お願いします!!先生にお願いしました。
先生が弁護を引き受けてくれることになり、やっとスタートラインにたてることになりました(≧▽≦)
2017年9月 移送申立をする
札幌で訴えられると、裁判の度に、札幌までいかないといけないらしい(・_・;)
被告の私は、大阪に住んでいる。
著作権専門の裁判は、東京と大阪に設置されているらしく、まずは、札幌なんかじゃなく、専門裁判所でたたかいましょう!
って、言う移送申立をおこなくことになりました。
2017年10月 移送却下
残念、当初のとおり、札幌地裁が裁判の場となりました。
2017年11月 第1準備書面提出
さすが先生!うまくまとめて書いてくれている。
自分の話なのに、素人には絶対書けない。
しかし、原告の人、弁護士つけていないみたいで、自分でやっているみたい。
弁護士の先生曰く、誰かアドバイスをしている人がいると思いますよ・・・。と、言ってはいたが、素人がこんなの書こうと思ったら、どれだけ何時間使うんだろう?
2017年12月 第一回期日
札幌地方裁判所で実施。先生は、電話でやり取りをする電話会議。
電話会議。
初めて知りました。そんなのあるんですね。
それから、1カ月半~2カ月おきに期日
2018年9月4日 一審の判決が出ました!
1 被告らは、原告に対し、連帯して金3万4512円及びそれに対する平成28年5月9日から
支払い済みまでの年5分の割合による金員を支払え
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用はこれを20分し、その19を原告の、その余りを被告らの各負担とする。
4 この判決は、1項に限り、仮に執行することができる。
???
なんだ、この中途半端な裁判結果!
元の請求額からすれば、金額は少額とはいえこの結果では、「自動ツールで画像が表示された時は、著作権侵害に問わない!」と言うことにはなりません。
もちろん上告します!
2019年3月12日 二審の判決が出ました!
一審と同一内容となりました・・・(涙)
2019年3月20日 仮執行の分の原告に振込む
いったん、仮執行分を支払っておいた方が良い。
弁護士の先生から、連絡がありました。
そのままだと、遅滞利息なるものが発生するらしいのです。2審での結果プラス金利分を足した、4万足らずの金額を原告に振込みました。
私は、弁護士の先生に最初に着手金30万払っているから、なんか払っている気になっているけど、今の段階で終わったとしたら、原告への支払いは、この4万足らずだけと言うことになる。
くわえて、原告側が、訴訟費用費用の20分の19を支払う判決が出ている。
そして、郵便代やプロバイダー請求やなにより信じられないぐらいの訴状の膨大なコピー。結構お金掛かっているはずです。
そもそも、民事訴訟法に、・・・。
第61条 訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。
あるらしいのだが、これによると、
原告が、20分の19。
被告の私が、20分の1の支払い。
やっぱり、よくわからない判決。
勝ったの?負けたの?
とりあえず、私を訴えた原告さん。
私のみの収支ではプラスにはなっていないと思います。
2019年3月21日 最高裁への持ち込みます!
先生に上告申請書の委任状を送りました!
この裁判、どこまで続くのだろう・・・。